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オータアサミのシネマトペ!

ミニシアターの元劇場スタッフが発信する映画ブログ

【映画】古傷えぐって立ち上がろう【ヘドウィグアンドアングリーインチ】

00年代 映画 洋画

≪思春期の衝撃≫
ヒリヒリの思春期真っ只中・高校生オータの心を奪っていったのは




レオ様でもなく






ギャロ様でもなく



















この人でした。

≪ヘドウィグアンドアングリーインチ≫
■監督
ジョン・キャメロン・ミッチェル
■キャスト
ジョン・キャメロン・ミッチェル
スティーブン・トラスク
マイケル・ピット
ミリアム・ショア
■日本公開
2002年
■製作国
アメリカ合衆国
■上映時間
92分





≪3行あらすじ≫
全米各地を売れないロックシンガーのヘドウィグが

人気ロッカー・元恋人のトミーを追いながら

本当の自分に気づいていく話






≪この映画。上から見るか、下から見るか≫

ヘドウィグはエンターテイメントであり、ロードムービーであり、音楽映画で、恋愛映画で、ヒューマンドラマで、セクシャルマイノリティ映画で、最終的に







と、思わせてしまう映画。
日本公開から14年。繰り返し観賞してしまう麻薬のような魅力は、この映画を楽しむ角度で全く違う印象を受けるところにある。

捨て曲ナシのサウンドからミュージカル映画として楽しむも良し。
脱出したと思ったらベルリンの壁が崩壊してしまう運命の皮肉さにハンケチを噛むも良し。
ヘドウィグのトミーに対する執念に過去の失恋を重ねても良し。
ただ私が1番心を揺り動かされるのは自分を守ってきた殻を少しずつ捨て、孵化するように自分の根源に還っていく物語。

誰しも1つや2つ、縛られる過去の出来事がある。
それを自分の腹の中に抱えたまま生きていくか、どこかで捨てて生きていくか。
私はその1つの答えがここにある気がして、人生の岐路に立つ度観賞してはヘドウィグに奮い立たせてもらっている。

初めは画面の毒々しさとヘドウィグの必死さに首をかしげる人もいるかもしれない。しかし、自分が女でないことで恋人が去り、大切な曲は盗まれ、挙句股間に残っているのは手術に失敗して出来た1インチの突起…こんな傷だらけの人間、あのぐらい攻撃的にならないと立っていられないはず。

そう。ファッションの分厚い殻は、過去の悲しみから自分を守るヘドウィグの自己防衛なのだ。
そこから解放された時、ラストの暗闇に消えていく彼が92分のうち1番美しいことにハッとさせられる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆★ 9/10
人生うまくいかない。そんな時に。